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本当に怖い飲食店の食中毒〜食中毒の種類と対策〜

飲食店を営んでいく上でもっとも気をつけなければいけないのが食中毒。食中毒が発生するとお店の評価が大幅に下がるばかりか、お客様の生死に関わることもあります。1年を通じて何らかの食中毒が起こりうるため油断はできません。今回は食中毒について理解を深め、対策手段を一緒に考えていきましょう!

年中起こりうる食中毒の種類


食中毒と一口で言ってもその種類や発生頻度の高い時期は多種多様です。
どんな食中毒がいつ起こりやすいのか、飲食店で発生しやすい食中毒の特徴を把握しましょう!

ノロウイルス

ノロウイルスの特徴
12〜1月がピークになるのがこのノロウイルスです。感染力が強く、日本で発生する食中毒の患者数では1番多いウイルスになっています。

ノロウイルスの媒体になりやすいとしてあげられるのが、体が左右2枚の貝殻で覆われた「二枚貝」によりものです。平成27年でいうと魚介類が原因で発生したノロウイルスは71件で、そのうち二枚貝が起こしたものは68件でした。

特に牡蠣はノロウイルスの原因の筆頭として考えられています。

なぜ二枚貝はノロウイルスの原因になりやすいのか?その理由は二枚貝が海水を体内に取り込んだ際、ウイルスが混入した生活排水も一緒に体内に貯蓄しているためと言われています。

また、二次感染の可能性も十分考えられます。ノロウイルスが手についた状態で食材や調理器具に触れると二枚貝以外からでも十分感染します。

ノロウイルスの被害者数
厚生労働省が発表した2016年度のノロウイルスによる月別被害者数です。

グラフからもわかるように12月、1月に猛威を振るっていることがわかります。忘年会、新年会など何かとお客さんの出入りが激しいシーズンですのでノロウイルス対策は万全に行ないましょう。

ノロウイルス対策
ノロウイルスはアルコールや40度程度の高温では死滅しません。さらに、乾燥、湿気にも強いので中途半端な対策では意味をなさないので、行うときは気合を入れてノロウイルスと向き合いましょう。

最も効果的なのは加熱です。85度以上で1分加熱するとノロウイルスは死滅すると言われています。特に二枚貝を提供するときは十分に加熱できているか最新の注意を払うよう心がけてください。

また、次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒もノロウイルスには効果的です。加熱ができない食材や、調理器具には次亜塩素酸ナトリウムで消毒することをオススメします!

ただ、サラダなどの野菜に使う場合は塩素臭が残り、食材を台無しにしてしますので100ppmから200ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を作り、浸漬させた後に十分に洗い流しましょう。

二次感染を防ぐには手洗いの徹底が重要です。

実は手洗い用石鹸や、アルコールではノロウイルスを殺すことはできません。しかし、石鹸をよく泡だてて指先、爪の間、手の甲などを丁寧に洗い、よく流せば物理的にノロウイルスを洗い流すことが可能です。

その際、使い回しのタオルではなく、できれば使い捨てのペーパータオルなどの方が望ましいです。

カンピロバクター・ジェジュニ/コリ

カンピロバクター・ジェジュニ/コリの特徴
ノロウイルスの次に被害が多かったのがカンピロバクター・ジェジュニ/コリというウイルスによる食中毒です。

カンピロバクターという属性の菌が24個ほどあり、そのうち食中毒を多く引き起こす可能性があるのがカンピロバクター・ジェジュニとカンピロバクター・コリの2種類です。

カンピロバクター・ジェジュニとウイルスとカンピロバクター・コリというウイルスの2種類をまとめてカンピロバクター・ジェジュニ/コリと本記事では便宜上呼ばせていただきます。

ニワトリ、ウシ等の家禽や家畜をはじめ、イヌ、ネコなどのペット、野鳥、野生動物など多くの動物の腸管内に広く常在菌として生息している菌です。トリ、ウシでは、カンピロバクター・ジェジュニの保菌率が高く、ブタでは、カンピロバクター・コリの保菌率が高くなっています。

カンピロバクター・ジェジュニ/コリによる食中毒を最も引き起こす食材は鶏肉です。また、牛や豚からも感染し、それらを扱った調理器具から二次感染することも確認されています。

カンピロバクター・ジェジュニ/コリの被害者数
厚生労働省が発表した2016年のカンピロバクター・ジェジュニ/コリによる月別被害者数です。

2016年は4月に多くの被害がありましたが、2015年は6月が最も多い被害月でした。

そのため月に関係なく注意した方が無難だと思われます。

カンピロバクター・ジェジュニ/コリ対策
カンピロバクター・ジェジュニ/コリは熱や乾燥に弱いので使用後の調理器具は熱湯消毒後、よく乾燥させると効果的です。食肉、特に鶏肉は十分に加熱調理を行なってから提供するよう心がけてください。

また、二次汚染を防ぐために、食肉と野菜を同じ包丁、まな板で切らない。切る場合は十分殺菌をしてからにするようにしましょう。盛り付けの際も食肉を行なった手では行わない。使い捨て手袋をつけるなど配慮を忘れないようにしてください。

ウェルシュ菌

ウェルシュ菌の特徴
ウェルシュ菌は、土や水の中、人や動物の腸内など自然界に幅広く生息している細菌です。「加熱食品は大丈夫」とよく言われるように多くの菌は熱に弱く、高温で熱したりすれば死滅します。

しかし、ウェルシュ菌は異なります。
100℃の熱に6時間以上耐えうる芽胞を作り、温度が下がると大繁殖する特徴を持っています。

肉類、魚介類、野菜を使用した煮込み料理がウェルシュ菌による食中毒の主な温床になり、大量に調理する集団給食施設で多く見られ、別名「給食病」と呼ばれています。

カレーやシチューなどの煮込み料理をそのまま放置しておくとウェルシュ菌が繁殖し、食中毒を起こす可能性があります。

ウェルシュ菌の被害者数
厚生労働省が発表した2016年のウェルシュ菌による月別被害者数です。

ウェルシュ菌による食中毒は5〜9月と言われていますが2016年は10月に6件の事件が発生し、のべ415人の被害者を出しました。

給食病と言われるだけあり、ウェルシュ菌による食中毒は2016年だと計31回と少なかったのにも関わらず被害者数の合計は1,411人で1回あたりの平均被害者数は約45.5人でした。

先ほど紹介したカンピロバクター・ジェジュニ/コリの場合、339回の食中毒事件が発生し、被害者数は3,272人で1回あたりの平均被害者数は約9.6人。

いかにウェルシュ菌による食中毒の1回あたりの被害が大きいかわかります。そのため1回ウェルシュ菌が原因の食中毒を発生させてしますと、お店にはその他の食中毒より甚大な損害を受けることになります。

ウェルシュ菌対策
熱に強く、被害が大きくなりやすいという厄介なウェルシュ菌ですが弱点もあります。

ウェルシュ菌は空気が嫌いな菌(嫌気性菌)なので、空気に触れさせることがウェルシュ菌対策の鍵になります。大きな釜で料理を作る際、底の方は空気が届きません。そのため底からよくかき混ぜて空気を送り込みましょう。

また、加熱した食材は繁殖する前に食べ切ってしまうのがベターです。止むを得ず保存する場合はウェルシュ菌が毒素を出したり繁殖する温度(37〜47℃)で放置せず急激に冷凍しましょう。

冷凍する場合も小分けにして、空気があたらない部分を作らないように心がけます。

アニサキス

アニサキスの特徴
最後に紹介するのがアニサキスです。つい最近でも有名芸能人がアニサキスが原因の食中毒で病院に運ばれたという話を耳にしました。

ここまで紹介した食中毒とは異なり、菌でなく寄生虫です。
長さ2〜3cm、幅0.5〜1mmで白い糸のように見え、十分目視できる大きさです。

サバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類に寄生し、寄生した生鮮魚介類を食すことでアニサキスが胃や腸を噛みちぎります。

一般的な料理で使うお酢や塩漬け、醤油、わさびでは死滅しません。

アニサキスの被害者数

厚生労働省が発表した2016年のアニサキスによる月別被害者数です。

件数自体は他の食中毒に比べて少ないですが、胃や腸を噛みちぎられることによる激痛やグロテスクなその見た目からアニサキス食中毒が発生すると全国ニュースになってしまうほどです。そのため、お店への損害も計り知れないものになってしまうので、十分な対策を講じましょう。

アニサキス対策
アニサキスを死滅させるための方法は主に2つです。

1つは-20℃で24時間以上冷凍させること。もう1つは70℃以上で加熱すること(60℃では1分)。

以上の2つを行うことがアニサキスを死滅させるのに効果的な方法です。

また菌と違い目視してアニサキスを確認できるので以上の方法が行えない場合は薄く切って、確実に手で除去する方法もあります。

ただ、身の中に入り込むため、細心の注意を払っても見逃してしまうことも十分ありえますのでできる限り冷凍または加熱を行なってください。

それらの対策を講じたとしても、アニサキスのアレルギーを持っている人は体液やアレルゲン物質が体内に入るだけで症状がでる可能性がありますので注意が必要です。

食中毒が起こってしまったら・・・

万全な対策をしていたとしても、食中毒が必ず起こらないという訳ではありません。万が一、あなたのお店で飲食を済ませたお客さんが体調不良を起こしてしまった場合どうすればいいのでしょうか?

お客様から食中毒になったと電話が入る

食中毒の種類にもよりますが多くの場合、数時間から数日の潜伏期間を経て症状が現れます。

そのため食中毒の疑いがあった場合、店舗への連絡は主に電話になります。その際、頭ごなしに「うちが食中毒なんてある訳ない」と否定したり、逆に「すみませんすみません」と状況が不明確にも関わらず謝罪してはいけません。

お客様の今の状況(症状、来店日時と注文したメニュー、病院に行ったのか)を伺い、病院に行っていない場合は病院に行くことを勧めましょう。

病院への車代はお店で負担し、可能ならば同行してください。医師から食中毒ではないと診断されれば責め立てるのではなく、「安心しました」など親身になって言葉をかけてあげましょう。

非常事態の時にお店の誠意ある対応が見られれば良い噂は広がって、ファンは増えるでしょう!

食中毒と診断された場合・・・

残念ながら食中毒と診断された場合、最寄りの保健所へ連絡が行き、食品衛生監視員が来店し、調査が始まります。もしあなたのお店から食中毒の原因となる菌や寄生虫が発見されれば店名が公表され、甚大な被害を被るでしょう。

そのため保健所も安易な調査をせず、間違いなく食中毒の原因があなたのお店とわかってから断定されます。しかし、あなたのお店が食中毒の原因ではなかった場合、検査結果の通知を持って食中毒被害を訴えたお客さんの所に報告をしましょう。

濡れ衣を着せられ、腹が立つ気持ちもわかります。とはいえ、訴えを起こしたお客さんも申し訳ない気持ちがあるでしょうから「体調が良くなったらまた来店してくださいね」などの言葉をかけてあげましょう。

そういった心遣いでお客さんも救われると思いますし、根強いファン作りの一環にもなり得ます。

発生源が自分のお店だった場合・・・

保健所の調査の結果、あなたのお店が食中毒の発生源でした。保健所から営業停止命令を受けことになりますが、懲罰はありません。営業停止の間は調理器具の消毒や、従業員の衛生指導に充てられます。

被害者の方への示談交渉はもちろん、お店に来てくれる方への謝罪や、なぜ食中毒が起こったのか、2度とこのようなことがないようにどんな対策をするのか今後の方針をしっかり打ち出しましょう。

起こってしまったことは仕方ありません。誠意ある対応でお客さんの信頼を堕とさないように努力してください。

食品営業賠償共済のすすめ


もちろん食中毒は起こさないに越したことはありません。
しかし、万が一起こった時のために保険に加入しておいた方が安心ではないでしょうか?

食品営業賠償共済は食中毒を発生させてしまった際に、発生する

・被害者に支払わなくてはならない損害賠償金 (治療費、入院費、薬代、付添い看護料、慰謝料、被害者の休業補償費用など)
・応急手当、護送、その他の緊急措置に要した費用
・賠償問題解決のために要した訴訟費用、弁護士費用

などの料金を掛け金に応じて払ってくれる食中毒用の保険です。安心してお店を運営するために転ばぬ先の杖として活用した方がいいかもしれませんね。

本当に怖い食中毒


今回は食中毒について紹介させていただきましたがいかがでしたか?食中毒が起こると被害者はもちろん、お店側も大きなダメージを受ける事になります。

店長や責任者が気をつけていても、その意識はアルバイトなどにも伝わっていますか?今一度食中毒について考える時間を設けて、手洗いのルール、食器等の消毒方法について確認してみましょう!

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